長男

 
 
退院後も、通院で抗がん剤治療をすることになっていたけど
母は、
「最初のクールで血尿が出て、びっくりしてやめてしまった。」
・・・と、再発した後に母から聞いた。
 
退院後の母のことは、完全にアウトオブ眼中。
意識して、考えないようにしてきたのかもしれない。
何よりも、実家に住む長男に関わりたくなかった。
 
本来、弟が長男を呼ぶ場合、「兄」というのだろうけど
ボクは、「長男」と呼ぶ
「兄」という名称は、少なからず畏敬の念を抱く対象に使うものであり
ボクには、その気持ちは数ミリもないからだ。
 
昔から、親戚にボクと長男は、仲が悪いと言われていた
いやいやそうではない。みな間違っている
仲がいいとか、悪いとかそうゆう問題ではないのだ。
と心の中でいつも思っていた。
そう、次元が違う。
 
キチガイとは付き合えないと。
ただ、それだけだ
 
長男は、キレやすい中学生のこころを持ったまま大人になった。
いまある自分の境遇は、すべて誰かのせい。主に母のせいらしい。
最近、よく聞く、まさにそういったタイプの人間だ。
50を越えても、仕事をしたこともなく、ただただ、自身の不幸を誰かのせいにしている。
 
小学校高学年ぐらいから、ボクだけは、こうなることが分かっていた。
コイツは駄目だと、一番早く確信したのは、間違いなくボクだ。そこだけは自信がある。
そんな育て方では、ろくなもんにならないと、子供心に思ってた。
親とは、幾つになっても親バカであり、ダメな子供「いつか」を願い。
変わらず甘やかし続ける。
そう、人間は目の前にある現実ではなく、自分に都合よいことだけを考え理解するのだ。
 
 
長男は、父が他界して以後、これまで以上に
母を奴隷のように扱い、八つ当たり、暴力を振るった。
母から相談があるたびに
警察に行くか、東京で暮らすか、真剣に考えるように話した
結局、どれも実現しなかったが、
こればっかりは母の選択だからどうしようもない。
 
けど、心の中では本当に東京に来たら面倒だとも思っていた。
 
ちゃんと考えれば、分かってたんだ。
 
母が自分から積極的な治療を受けたり、
長男が闘病中の母の面倒をみてくれるような
そんな人間ではないことはわかっていたんだ。
 
なのに、見て見ぬふりをしてた。
 
もっとちゃんとしてれば
こんなことには、ならなかったかもしれない。
現実を正しく認識すれば、再発するのが当たり前だったんだ。
それも知ってて、知らないふりとしてたのか。
 
ホント、自分のことしか考えて無いんだ。
おれに、長男のことをとやかく言う資格があんのか。