お遍路を意識し始めたのは、2006年NHKで放映された「ウォーカーズ~迷子の大人たち~」でした。あのドラマをきっかけに、お遍路について調べるようになって。実際に、歩いて四国を一周するという途方もないことしている人が結構いることを知りました。たまたま、取引先の人に、区切り遍路をしている人がいまして、そこで初めて空想から現実に変わりましたね。それまでは、さすがに本気では考えてませんでしたから。
そういった意味では、自分の周りに、実際に経験しているひとがいたことが、決め手になったかもしれません。
ただ、ボクの場合、お遍路とはいっても、お経とか巡礼とか、そういった宗教的なことは一切頭にありませんでした。
四国を歩いて一周する長距離スタンプラリーだと思ってスタートしています。決して、本来の意味を否定しているわけではなく、ボクが興味を持ったのは、何十日間も毎日毎日歩くという、ただそのことのみであって、それが純粋に凄いと思ったから、はじめてみようと思ったわけです。
2008年、40歳になった私は、会社を退職したことをきっかけに、歩き遍路を実行に移しました。
会社を辞めたのは、立ち止まってみたかったからです。別に今まで流されていたとも思いませんが、なんとなく働いてなんとなく毎日を過ごしている自分に苛立ったというか、「これでいいのか」と若者のように考える日が増えてました。
寿命が80歳だとすると、40歳は折り返し地点です。実際、そのように感じるときが多いんです。体とか頭とか・・・。
いままで、自分は毎日少しずつ成長してると思ってたのに、いつの間にか成長よりも、退化してることのほうが多いことを実感しはじめるんです。
すると、不安になりますよね。10年後20年後の自分はどうなってるのかって考えられなくなる。
20代や30代前半は、「今は50だけど、3年後は70になる。5年後には100にパワーアップしてるかもしれない。」って思える。だから今はこんなんでも、大丈夫。まだ先がある、成長できるって思えてたのに。
いま50だと。3年後は40。5年後は、20かもしれない。って思ったら、先のことを考えるのが嫌になったりする。
じゃあ、お遍路なんて行かないで、もっと頑張ればいいって、いう意見が最もなのですが。今までも結構頑張ってきたんで、まだ頑張らなきゃいけないのかと思うとツライ。それに頑張った先に何があるのかなんて、大体分かるし。昔より今の方が自分のレベルを知ってますからね。
さすがに、お遍路を理由に会社を辞めたわけじゃないけど、立ち止まった結果が、お遍路だったと。
自分に課したただひとつの宿題は、「毎日ブログを更新すること。」おかげで、モバイルPCを担いで88箇所を巡ることになってしまいました。
そのブログのために、毎日、150枚前後のシャッターを押し、宿についてマメを潰しながら、3時間から4時間かけてブログを更新する。多少睡眠時間が減ってもやむなし。
そういえば、遍路中に宿でテレビをつけたことは一度もないです。
8月28日~9月3日までの7日間。徳島で一旦区切って、残りを10月3日~10月31日までの28日間
遍路を終えたとき、私の大切なものは、納経帳ではなく、ライブで書き連ねたつたないブログです。後から何度も読み返して、楽しい気持ちになっている。
お遍路終えて、良かったことはひとつだけ。
体重が高校生を卒業した頃に戻ったこと(笑)
それ以外は、本厄も影響したのか、悪いことずくめ。
いろいろあって、お遍路にいくべきではなかったかと後悔もした。
でも、1年経った今となれば、素晴らしい思い出。
また行きたくて、うずうずしている。